AX

日本で誤解の多い”science”の意味

概して、我が国日本において”science”という言葉を用いるとき、ほとんの場合において、その意味を「科学」という意味で用いられている。

しかし、実際、本来において、英米、そして、西洋文明社会全域においては、scienceという言葉は、「科学」という意味だけでなく、「学問」、あるいは、「・・学」という意味で用いられる。

具体的な例を述べると、”高次の学問”としての法学(jurisprudence)はlegal science、医学はmedical science、歴史学はhistorical science、政治学であればpolitical scienceと呼ばれている。

西洋の学術研究におけるscienceは、学問における三大潮流、即ち、人文科学(human sciences)、社会科学(social sciences)、自然科学(natural sciences)全般を指す概念である。したがって、例えば、西洋諸国における研究者・識者においては、異なる学問分野を研究する研究者同士で”science”という言葉を使うときは、通常、「学問」という意味で用いられている。

一方、西洋においても、scienceは、無論、「科学」には違いない。ただ、ここで留意すべきことは、世界レヴェルの学術研究において研究者が「科学」の意味でscienceという言葉を使うとき、scienceは、いわゆる「“学問”としての科学」という意味合いが強いということである。

ヨーロッパ語としてのscienceの語源は、ラテン語のscientiaを由来とする。scientiaは当初、「知識」を意味する言葉であったが、17世紀に入ると(精密)自然科学として捉えられはじめ、近代においては、広義には「学問」という意味で用いられるようになったのだ。